「外出先でもClaude Codeを使いたい」——そんな欲求から始まったこの実験。
iPhoneのTermiusアプリからSSHで接続する方法はある。でも、どこかサーバーが必要だ。自宅のProxmox上にLXCを用意してTailscaleで外からアクセスするのが定石だけど、もっと面白い方法を思いついた。
Raspberry Pi Zero 2 WをキーホルダーにしてLinuxマシンごと持ち歩けばいいんじゃないか。
カード2枚分ほどのサイズのLinuxマシンにClaude Codeを丸ごと入れて、iPhoneのホットスポット経由でどこでも使えるようにする。やってみたら、思ったより実用的だった。
用意するもの
- Raspberry Pi Zero 2 W(約2,500円〜)
- microSDカード(16GB以上、Class10推奨)
- Raspberry Pi Imager(Mac/Windows対応、無料)
- iPhoneのTermiusアプリ(SSH接続用)
- Claude Proサブスクリプション(APIキー不要・追加課金なし)
Pi本体は技適取得済みの国内正規品を選ぶこと。技適なしモデルは国内でのWi-Fi使用が違法になるので注意。
セットアップ手順
1. OSの書き込み(WPA3の罠に注意)
Raspberry Pi Imagerで Raspberry Pi OS Lite (64-bit) を選択。「詳細設定」で以下を設定する。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| ホスト名 | 任意(例:claude-zero) |
| ユーザー名 | 任意 |
| Wi-Fi SSID | WPA2のSSIDを選ぶ(重要) |
| SSH | 有効化 |
ハマりポイント: Buffaloルーターなど末尾が「-WPA3」のSSID(WPA3専用)を指定するとWi-Fi接続が失敗する。Pi Zero 2 WのWi-FiチップはWPA3との相性が不安定なので、WPA2のSSIDを使うこと。
2. 初回起動は5〜6分待つ
初回起動時はファイルシステムの拡張と自動再起動が走るため、緑LEDが点滅→常灯になるまで5〜6分かかる。焦らず待つ。起動後はルーターのDHCPリース一覧でIPを確認するか、mDNSで接続できる。
ssh ユーザー名@claude-zero.local
3. システムアップデート
sudo apt update && sudo apt upgrade -y
4. Node.js + Claude Codeのインストール
Node.jsバージョンマネージャーのfnmを使ってNode.js v22を入れてから、Claude Codeをインストールする。
# fnmインストール
curl -fsSL https://fnm.vercel.app/install | bash
source ~/.bashrc
# Node.js v22インストール
fnm install 22
fnm use 22
# Claude Codeインストール
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
claude --version
# 例: 2.1.156 (Claude Code)
5. Claude Proアカウントでログイン(APIキー不要)
Claude ProサブスクリプションがあればAPIの従量課金なしでそのまま使える。
claude auth login
表示されるURLをiPhoneのSafariで開いてClaude.aiにログイン。表示されたコードを貼り付ければ認証完了。
6. Tailscaleでどこからでもアクセス可能に
curl -fsSL https://tailscale.com/install.sh | sudo sh
sudo tailscale up
表示されたURLでTailnetに参加すれば完了。以降はTailscale IPでどこからでもSSH接続できる。
7. tmuxでセッション永続化
iPhoneの画面が暗くなってSSHが切れても、Pi上の作業セッションを維持するためにtmuxを設定する。
sudo apt install -y tmux
~/.bash_profile に追記して、SSH接続時に自動でtmuxセッションにアタッチするようにする:
if [ -z "$TMUX" ]; then
tmux attach -t main 2>/dev/null || tmux new-session -s main
fi
これでSSH接続した瞬間に自動的にtmuxに入る。切断→再接続しても続きから作業できる。
8. iPhoneホットスポットを自動接続に登録
sudo nmcli connection add type wifi con-name "MyiPhone" \
ssid "MyiPhone" \
wifi-sec.key-mgmt wpa-psk \
wifi-sec.psk "ホットスポットパスワード" \
connection.autoconnect yes
自宅Wi-Fiが見つからない場所に出ると、自動的にiPhoneのホットスポットに切り替わる。
外出先での使い方
セットアップが済んだら、外出先での手順はたった3ステップ:
- iPhoneのホットスポットをオン
- TermiusでSSH接続(TailscaleのIPを使用)
claudeと打つだけ → Claude Codeが起動
iPhoneの画面が暗くなって接続が切れても、再接続するとtmuxで続きから作業できる。カフェでも移動中でも、ポケットの中のPiがLinuxサーバーとして動き続けている。
スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| CPU | ARM Cortex-A53 × 4コア(1GHz) |
| RAM | 512MB |
| ストレージ | microSD |
| Wi-Fi | 2.4GHz 802.11 b/g/n(WPA2対応) |
| サイズ | 65mm × 30mm(カード2枚分) |
| 消費電力 | 約1〜2W |
| 価格 | 約2,500円〜 |
RAMが512MBと少ないが、Node.js(Claude Code)は問題なく動く。スワップ込みで余裕あり。
まとめ
Raspberry Pi Zero 2 Wは約2,500円、カード2枚分のサイズでClaude Codeを動かせる。Tailscale + tmuxの組み合わせで、接続の安定性とセッション永続性も確保した。
「AIをどこでも持ち歩く」というのは、スマホアプリでも実現できる時代だ。でもClaude Codeが動くLinux環境ごと持ち歩くのは、ガジェット好きとしてはまた違う満足感がある。自分でセットアップして、自分のLinuxマシンとして育てていく感覚が楽しい。
Claude Proサブスクリプションがあれば追加コストゼロ。気になる人はまずPi Zeroを買うところから始めてみてほしい。